水戸地方裁判所 昭和54年(ワ)41号 判決
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【説明】
本訴の請求原因の骨子は次のとおりである。
訴外亡安達武一は、訴外亡中根二郎から昭和二六年五月三日本件土地を、代金一万円と米一俵、支払方法は現金一万円は契約と同時に支払い、米は同年秋の収獲と同時に支払うとの約定で買受け、右土地の引渡を受け、耕作を開始した。
そこで亡武一の相続人の原告らは亡二郎の相続人の被告らに対し右土地につき農地法三条による許可申請手続を求める。
【判旨】
一 <証拠>を総合すれば、請求原因事実(ただし売買の日は昭和二六年五月初頃と認められる。)及び亡安達武一は昭和二六年以来本件土地に対する税金を支払つており、本件土地が亡中根二郎に対する滞納処分により差押えを受けたとき、右滞納税金を同人に代つて支払い差押えの解除を得たこと、亡中根二郎は生前本件土地を昭和二六年に亡安達武一に対し売渡していたことを認め、右税金の支払もこのことを前提として右安達がなしたものであることが認められる。
二右認定によれば、被告らは本件土地の売主の地位承継人として買主の承継人である原告らに対し農地法三条の許可申請手続をなす義務及び右許可があつたときは所有権移転登記手続をなす義務があるものというべきところ、被告石川智恵、同石川正夫は右許可申請協力請求権は時効により消滅した旨主張する。よつて考えるに、右請求権は通常の債権として一〇年の消滅時効にかかるが、前記認定のように本件土地は昭和二六年以来亡安達武一、原告らにおいて長期間にわたり占有耕作していること、その間の税金は同人らにおいて支払つていること、亡中根二郎も本件土地を売渡したことを認めていたこと等をあわせ考えると、今になつて消滅時効を主張することは信義則に反し権利の濫用として許されないものと解するのが相当である。
(早井博昭)